トラリピ大好きトラリパーのイモラです。
みなさん、トラリピの『決済トレール』って知ってますか?
一言で説明すると、「決済価格がレートに追従することで利益拡大を狙う機能」です。
これだけ聞くと、使わないと損するオトクな機能に思えますが、必ずしもいいことばかりではありません。
この記事では、決済トレールの仕組みやデメリットについて説明するとともに、我が家での決済トレールの使用実績や有効な使い方を紹介したいと思います。
決済トレールとは?
例えば、買いトラリピで注文価格が80円、利益値幅が0.5円の場合を考えてみましょう。
決済トレールなしの通常のトラリピの場合は、80円の新規買い注文が約定した時点で、80.5円の決済売り注文が発注されます。
そして、レートが80.5円になれば決済され、500円の利益を得ることができます。

通常のトラリピはわかりやすいですね。

一方、決済トレールありの場合は、レートの上昇が続く限り、それに合わせて決済価格が上へ上へと移動します。
そして、最終的にレートが下落したときに決済され、500円よりも大きな利益を得ることができます。

絶対使ったほうがよさそうだけど?

この説明だけならそう思うよね。
決済トレールの仕組み
では、決済トレールの仕組みを詳しく見ていきましょう。
先ほど、「決済価格が上へ上へと移動する」と書きましたが、決済価格が移動するためには、「レートがトレール判定価格に達する」という条件をクリアする必要があります。
トレール判定価格は、決済価格の+0.2円(売りなら-0.2円)に設定されます。この0.2円(20pips)というトレール幅は固定されており、変更することができません。
つまり、買いトラリピなら、レートが0.2円上がるごとに、決済価格も0.2円ずつ上がっていきます。

非対円通貨ペアのトレール幅は0.002ドル(20pips)となっています。
先ほどと同じ例で説明します。

決済トレールをオンにしている場合、80円で新規買い注文が約定した時点で、すぐに80.5円の決済売り注文が発注されるわけではありません。
80.5円の決済注文が発注されるためには、最初のトレール判定価格である80.7円(=80.5円+0.2円)に達する必要があります。
つまり、80.5円に達しただけでは何も起こらず、80.7円に達してはじめて80.5円の決済注文が発注されるのです。
こうして最初の決済注文が発注されたあとは、レートが0.2円上がることに決済価格は0.2円ずつ上がっていきます。
上の図は、レートが81.3円に達して決済価格が81.1円まで上がったあと、レートが下がって81.1円で決済された例を示しています。
決済トレールをオンにすることで、決済トレールがなければ500円だった利益が1,100円まで伸びたことになります。
このように、決済トレールを利用することで、レートが一方側に大きく動くトレンド発生時に利益を拡大することができるのです。
決済トレールのデメリット
決済トレールのメリットはわかりやすいですが、実際にやってみると「思ってたのとちょっと違う…」と感じる人が多いようです。
それもそのはずで、決済トレールには看過できないデメリットもあります。
- 余計に0.2円動かないと決済しない
- 含み益が0.2円以上減ってから決済する
- 決済注文が成行きなので滑りやすい

意外とデメリットが多いのね。
余計に0.2円動かないと決済しない
利益値幅を同じ0.5円で考えた場合、決済トレールなしだと0.5円動けば決済されます。
しかし、決済トレールありだと0.5円動くだけではダメで、0.7円動かないと決済されることはありません。

この余計に0.2円動かないと決済しないという仕組みは、「決済トレールは利確されにくい」という印象を与えがちです。
含み益が0.2円以上減ってから決済する
決済トレールありでは、含み益がピーク時から0.2円以上減少してから決済することになります。

最悪のケースは、次のトレール判定価格に達する直前に下落に転じた場合で、その場合には含み益の減少額は約0.4円にもなります。
トラリピ口座を頻繁にチェックする人が決済トレールを利用すると、決済される前に必ず含み益が一定以上減少する状況にやきもきするかもしれません。
決済注文が成行きなので滑りやすい
決済トレールでは、決済価格に達すると成行きで発注されます。このため、滑りが発生し、決済価格で約定しないことがよくあります。
利益額が増える方向に滑ることもありますが、どちらかと言うと、利益額が減る方向に滑ることが多いので、これも決済トレールのデメリットになりそうです。

フラッシュクラッシュのような相場では少し不安かな。
決済トレールの使用実績
以上のように、決済トレールはデメリットも少なくないので、決済トレールを使うか使わないか迷う人が多いと思います。
そこで、1つの参考例として、我が家で2021年1月1日~3月21日の間、試行的に行った決済トレールの実績をお見せしたいと思います。
我が家のトラリピは、ベースとなる基本トラリピと、トッピングリピートによる追加トラップで構成されています。
基本トラリピの設定条件とトッピングリピートについては、それぞれこちらの記事に詳しく書いています。
試行運用ではトッピングリピート分だけ決済トレールありで運用しましたが、ポイントは利確幅を基本トラリピの半分以下と狭めにしていること。
通貨ペア | 基本トラリピ の利確幅 (決済トレールなし) | トッピングリピート の利確幅 (決済トレールあり) |
---|---|---|
CAD/JPY | 800円 | 400円(1/1~2/11) 300円(2/12~3/21) |
EUR/JPY | 1,000円 | 500円 |
AUD/NZD | 8ドル | 3ドル |

「利確幅狭め」ということに意味があると考えています。
決済トレール注文の利確幅を狭めにすることで、
- ボラティリティが低いときでも細かく利益確保
- トレンドが発生すれば利益を伸ばす
というダブルの効果が期待できるのではないかと考えました。
以下、試行運用の実績を通貨ペアごとにまとめています。

GBP/JPYは高値圏だと思ってトッピングリピートをし損ねました…。
CAD/JPYの決済トレールの実績
CAD/JPYの実績はこのようになりました。スワップは含めずに集計しています。
利確幅 | 決済回数 | 実際の 利益額平均 |
---|---|---|
300円 | 12回 | 296円 |
400円 | 14回 | 394円 |
500円 | 7回 | 498円 |
600円 | 10回 | 597円 |
700円 | 3回 | 698円 |
800円 | 1回 | 797円 |
900円 | 3回 | 897円 |
1,100円 | 1回 | 1,097円 |
合計・全平均 | 51回 | 494円 |
決済トレールの決済が合計で51回あり、利益額の全平均は494円となりました。
実際の利益額が本来の利確幅よりも数円ずれているのは、滑りが発生しているためです。CAD/JPYではすべてが不利な方向への滑りとなっていました。
EUR/JPYの決済トレールの実績
次にEUR/JPYの実績です。
利確幅 | 決済回数 | 実際の 利益額平均 |
---|---|---|
500円 | 13回 | 497円 |
700円 | 3回 | 697円 |
900円 | 2回 | 897円 |
1,100円 | 1回 | 1,093円 |
合計・全平均 | 19回 | 602円 |
決済トレールの決済が合計で19回あり、利益額の平均は602円となりました。
EUR/JPYでも、CAD/JPYと同様に滑りはすべて不利な方向に発生していました。
AUD/NZDの決済トレールの実績
最後にAUD/NZDの実績です。
利確幅 | 決済回数 | 実際の 利益額平均 |
---|---|---|
3ドル | 23回 | 2.97ドル |
5ドル | 20回 | 4.96ドル |
7ドル | 14回 | 6.97ドル |
9ドル | 6回 | 9.21ドル |
11ドル | 4回 | 11.36ドル |
13ドル | 3回 | 13.60ドル |
15ドル | 1回 | 15.56ドル |
合計・全平均 | 71回 | 5.95ドル |
決済トレールの決済が合計で71回あり、利益額の平均は5.95ドルとなりました。
AUD/NZDでも不利な方向への滑りが多かったものの、いくつか有利な方向に滑るケースが見られました。
決済トレールの感想
決済トレールあり・なしのどちらがよかったのかは、完全同一条件で比較したわけではないので、残念ながら結論を出すことはできません。
値動きに合わせて自動で利確幅が変動してくれるので、最適な利確幅で悩む必要がなくなるのは決済トレールの大きなメリットと感じました。
その一方で、「含み益が20pips減ってから決済される」という仕組みから、「意外に利益が伸び悩んだな」と複雑な気持ちになることも多かったです(笑)。
試行運用では、利確幅広めで決済トレールなしの基本トラリピがベースにあったので、決済トレールの動きを楽しむ余裕がありました。
しかし、本格運用となると、トレール幅が20pipsで固定されている点や滑りの不安定さが気になり、ちょっとためらってしまいます。

個人的にはトレール幅は10pipsぐらいがほどよい気がします。
決済トレールの有効な使い方
決済トレールはデメリットもありますし、人によって好みが分かれると思うので、万人にはオススメしません。
実際、私も含み益を削られることや決済時の滑りがどうも気になって、決済トレールを本格的に導入することにはいささかの抵抗があります。
ただし、『利確幅広めの決済トレールなし+利確幅狭めの決済トレールあり』の組み合わせなら、
- ボラティリティが低いときでも細かく利益確保
- トレンドが発生すれば利益を伸ばす
という決済トレールのメリットを安心して享受しやすいと思います。
決済トレールが気になっている人は、一度上記のような組み合わせで試してみてはいかがでしょうか?
その結果を受けて、決済トレールを本格的に導入するかどうか検討しても遅くないと思いますよ。
以上、決済トレールで悩んでいるみなさんの参考になれば幸いです。

我が家では決済トレールを引き続き部分的に利用しようと思います。
ちなみに、トライオートFXやマネーパートナーズでもトラリピ運用は可能ですが、決済トレール機能を利用できるのはマネースクエアのみとなってます。