マネースクエアのトラリピで家計のお金を運用しているイモラです。
「トラリピってそもそも何?」という人は、下の記事を先に読んでもらったほうがこの記事も理解しやすいと思います。
手間をかけずに平均点を狙える運用手法としてトラリピは優秀ですが、初心者がいざ始めようと思うと、多くの設定項目があることに戸惑ってしまうかもしれません。
この記事では、マネースクエアにおけるトラリピの設定方法について、できるだけわかりやすく解説しています。
「これさえ読めばトラリピを始められる!」という内容に仕上げるため、かなりの長文記事となっていますが、この記事さえ読めば、
トラリピ、恐るるに足らず!
のはず(笑)。
トラリピの設定項目
下の表は、トラリピの運用条件を示したものです。我が家で実際に運用しているCAD/JPY(カナダドル/円)の運用条件です。


一番上の各項目が、トラリピを開始するにあたって設定しなければいけない項目です。あとで詳しく説明するので、ここでは眺めてもらうだけで結構です。
「そもそも運用する通貨ペアはどうやって選べばいいの?」という人は、こちらの記事を参考にしてください。
トラリピの設定から注文までの手順
トラリピの設定から注文に至るまでの手順をチャートにまとめました。
ステップが多くてうんざりの人もいるかもしれませんが、じっくり検討したいのはステップ2、3、6ぐらい。あとは大したことないので、安心してください!
- ステップ1運用資金を決める
トラリピの運用資金を決める。
- ステップ2ロスカットレートを決める(ここ重要!)
リスク許容度に応じてロスカットレートを決める。
- ステップ3レンジを決める(ここ重要!)
過去のチャートからどの範囲にトラリピを仕掛けるかを決める。
- ステップ4注文金額を決める
マネースクエアで決められている売買単位でOK。
- ステップ5利益金額を決める
500~1,000円ぐらいの間でエイヤーと決める。
- ステップ6『トラリピ運用試算表』でトラップ本数を決める(ここ重要!)
運用資金とロスカットレートに応じて自動的に決まる。
- ステップ7トラップ値幅を調整する
この調整は必須ではないので省略可能。
- ステップ8トラリピを注文する
これまでに決めた運用条件に基づいて注文する。
以下では、先ほどお見せしたCAD/JPYの設定条件を具体例としながら、各ステップについて詳しく説明していきます。


うわ~、大変そう…。


文章にすると大変そうだけど、実際にやってみるとそうでもないよ。
ステップ1:運用資金を決める
まずは、トラリピでいくら運用するのかを決めておきます。
いざと言うときに追加入金でロスカットを回避できるだけの資金を残しておくため、たとえ余裕資金と言えども、そのすべてをトラリピに回すのはオススメしません。
我が家では、4つの通貨ペア(CAD/JPY、AUD/JPY、MXN/JPY、NZD/JPY)の運用を200万円で始めました。
CAD/JPYには、そのうち40万円を割り当てることにしました。
ステップ2:ロスカットレートを決める(重要!)
次に、ロスカットレートを決めます。
トラリピでは証拠金維持率が100%を下回ると全ポジションが強制決済、すなわちロスカットされます。そのときのレートがロスカットレートです。
ロスカットに遭うと資金の大半を失うことになるので、ロスカットは絶対に避けなければならないものです。
トラリピでは「ロスカットレートをいくらにするか」によって運用リスクを調整するので、ロスカットレートはリスク管理における最重要項目です。
買いトラリピの場合、ロスカットレートを下げれば下げるほど低リスクとなりますが、その分多くの資金が必要となります。
反対に、ロスカットレートを上げれば上げるほど高リスクとなりますが、少ない資金での運用が可能となるため資金効率は向上します。
我が家のトラリピでは、CAD/JPYのロスカットレートをリーマンショック後の最安値の68円としました。
あとでも説明しますが、ロスカットレートは設定項目としては存在せず、ほかの運用条件を決めることによって自動的に決まるものです。
「ここで決めたロスカットレートを実現できるようにほかの運用条件を調整する」ということを覚えておいてください。


ロスカットレートという設定項目があるわけじゃないのね。


ほかの運用条件を決めた結果として出てくる数字だよ。
ロスカットとストップロスの違いは?
トラリピでは、『ストップロス』を設定することができます。
ストップロスとは、いわゆる『損切り』と呼ばれるもので、ストップロスで設定したレートになったら、そのトラリピのすべてのポジションが決済されます。
ロスカットでは強制的に全ポジションが決済されるのに対し、ストップロスは自発的に損切りを行うものです。
ハイリスクな運用を行っている人は、ストップロスを設定することで、損失をコントロールするのも1つの手です。
しかし、私は「トラリピでは損切りせずに耐え抜く」ことを基本スタンスとしているので、ストップロスは設定していません。
ステップ3:レンジを決める(重要!)
過去のチャートからどのレンジにトラリピを仕掛けるかを決めます。
このとき、10年以上の長期チャート、できれば2008年のリーマンショックを含む長期チャートをチェックすることをオススメします。
数年程度のチャートから運用レンジを決めると、思いのほかに狭いレンジになってしまうおそれがあるからです。
レンジが狭いということは、その狭いレンジでレートが上下している限りは高い利回りが狙えますが、レートがレンジから外れる可能性も大きくなります。
これは、私がCAD/JPYのレンジを決める際にチェックした2006~2019年のチャートです。


このチャートから捉えたCAD/JPYの最高値は126円、最安値は68円となっており、その中間値は97円となっています。
一番わかりやすいのは、下半分の68~97円に買いトラリピを仕掛け、上半分の97~126円に売りトラリピを仕掛ける『ハーフ&ハーフ』と呼ばれる戦略です。
ハーフ&ハーフでは、買いと売りのポジションが同時に成立することはないので、運用資金が多くなるほうの分だけ資金を用意すれば足ります。
片方の資金で買いと売りを合わせた広いレンジで利益を出せるのがハーフ&ハーフのメリットですが、私はマイナススワップがイヤなのでやってません。
というわけで、CAD/JPYではスワップがプラスの買いトラリピしかやっていませんが、買いのレンジはどうやって決めればよいのでしょうか?
運用資金は40万円と限られているので、68~97円という広いレンジにトラリピを仕掛けるのは現実的ではありません。レンジをもう少し狭める必要があります。
運用条件を検討していた2019年7月時点でCAD/JPYは82円台だったので、82円を中心に上下に4円の範囲、すなわち78~86円を運用レンジとすることに決めました。
「上下4円ぐらいとっておけば、すぐにレートがレンジから外れることはないだろう」という程度の考えで、確固たる理由があるわけではありません。
レンジは大事な設定項目ですが、トラリピを始めるタイミングや運用資金などに応じて、人によって大きく差が出るところでもあります。


もっとレンジを広げたほうがいいんじゃないの?


限られた資金でレンジを広くしすぎると、トラップの間隔が広くなりすぎて、利益が出にくくなるよ。
レンジの決め方については、こちらの記事でもっと深掘りしていますので、よかったら参考にしてください。
ステップ4:注文金額を決める
注文金額とは、1回の注文で売買する数量のことです。
運用資金が限られているうちは、注文金額は、マネースクエアで決められている売買単位と同じにしておけばいいでしょう。
売買単位はこちらのページで確認できます。
CAD/JPYの売買単位は1,000なので、注文金額は1,000でOKです。
注文金額を増やす余裕があるなら、トラップ本数を増やしてトラップ密度を高めることを優先したほうが、安定的な運用ができると思います。


注文金額は簡単ね。
ステップ5:利益金額を決める
利益金額とは、1回の決済で狙う利益のことで、『利益幅』とか『利幅』とも呼ばれます。
利益金額は運用リスク(ロスカットレート)には関係ありませんので、以下のページなどを参考にして、エイヤーで決めてしまいましょう(笑)。
個人的には、「最適な利益金額がいくらか」というのは結果論にすぎず、あまり時間をかけて悩んでもしょうがないと思っています。
どの通貨ペアでも500~1,000円ぐらいの間で設定しておけば大ハズレということはないでしょう。
私はラッキーセブンにちなんで、『7』絡みの利益金額(700円とか7ドルとか)にすることが多いです(笑)。


利益金額は深く考えても仕方ないかと…。
決済トレールはどうする?
トラリピでは、『決済トレール』を設定することができます。
決済トレールとは、相場の上昇や下降に追随して決済価格も変化させる機能のことです。
決済トレールを設定することで、相場が一方向に大きく動いている場合に、設定した利益金額以上の利益を得ることができます。
しかし、それなりのデメリットもあり、人によって好き嫌いが分かれる機能なので、詳しく知りたい人はこちらのページをどうぞ。
ステップ6:『トラリピ運用試算表』でトラップ本数を決める(重要!)
ここまでの運用条件を決めたら、『トラリピ運用試算表』の出番です!
『トラリピ運用試算表』は、運用条件を入力すればロスカットレートが一瞬でわかる優れもののツールです。
ただし、トラリピ運用試算表はマネースクエアで口座開設しないと使えないので、トラリピに興味のある人はまずは口座開設しておきましょう。
トラリピ運用試算表は、ログイン後のトップ画面の下のボタンから開きます。また、トレード画面のメニューにもトラリピ運用試算表へのリンクがあります。


トラリピ運用試算表の上半分は、このように試算条件を入力する画面となっています。各項目に条件を入力しましょう。




ロスカットレートをここで入力する必要はありません。
トラップ本数はあとで調整しますので、とりあえず適当な本数を入力しておいてください。ここでは『30本』としています。
各項目に条件を入力したら、『計算スタート』という水色のボタンを押してください。すると、その下に試算結果が表示されます。


試算結果の画面でチェックすべき項目はロスカットレートです。
この試算ではロスカットレートは71.515円となっており、ステップ2で決めた68円よりも高くなっています。
そこで、ロスカットレートが68円以下となるように条件を調整します。
ロスカットレートを下げるには、運用資金を増やしてもいいのですが、普通、運用資金は固定条件だと思いますので、ここではトラップ本数を減らします。
試算条件のトラップ本数を30本から徐々に減らしていき、ロスカットレートが68円を下回るトラップ本数を見つけてください。
今回の試算条件だと、トラップ本数を23本としたときにはじめてロスカットレートが67.294円と68円を下回りました。


以上より、運用資金40万円、レンジ78~86円、ロスカットレート68円という条件下では、トラップ本数を23本にすればいいということがわかりました。
トラップ値幅は、トラップ本数に連動して自動的に決まります。この条件だと、トラップ値幅は0.363円となりました。
これで、下の表に示すように、トラリピを始めるのに必要なすべての運用条件が出そろいました。
通貨ペア | CAD/JPY |
買・売 | 買 |
運用資金 | 400,000円 |
注文金額 | 1,000 |
レンジ | 78~86円 |
トラップ本数 | 23本 |
トラップ値幅 | 0.363円 |
利益金額 | 700円(決済トレールなし) |
ロスカットレート | 67.294円(<68円) |
なお、当ブログがマネースクエアとのタイアップ特典で提供している『トラリピ資金管理ツール』を使えば、ロスカットレートから簡単に必要資金を求められます。
興味のある人は、ぜひ入手してください。
ステップ7:トラップ値幅を調整する
ステップ6で決まった運用条件で何の問題もないのですが、最初にお見せした運用条件はトラップ本数や値幅が異なっています。


その理由は、トラップ値幅が0.363円という中途半端なのがイヤなので、値幅が0.4円になるように調整したからです。


ステップ7はキリのいい値幅にしたい人だけでOKです。
「そんな細かいこと気にしない!」という人は、このステップを飛ばしても全然問題はありませんので、ステップ8に進んでください。
さて、レンジ幅が8円の場合にトラップ値幅を0.4円にしようと思えば、トラップ本数は8÷0.4+1=21本となります。最後の「+1」は懐かしの植木算です。
トラップ本数を23本から21本に変更した試算結果は次のとおり。


トラップ本数を21本にすると、確かにトラップ値幅は0.4円となっています。また、ロスカットレートが67.294円から65.576円まで下がっています。
ロスカットレートが下がるのは、リスク低減という意味では悪いことではありません。
ただ、運用効率は下がってしまうため、ロスカットレートをステップ2で決めた68円にできるだけ近づけるように、運用資金を40万円から減らすことにしました。
トラップ本数を21本に固定し、条件入力画面の運用予定額を40万円から1万円刻みで下げながら試算してきます。
すると、運用資金36万円でロスカットレートが67.560円、運用資金35万円でロスカットレート68.056円となりました。
このことから、トラップ値幅を0.4円にした場合に、ロスカットレートを68円以下に抑えるのに必要な最低資金は36万円であることが判明しました。
こうして得られた運用条件が次の表のとおりであり、我が家のCAD/JPYの運用条件となっています。
通貨ペア | CAD/JPY |
買・売 | 買 |
運用資金 | 360,000円 |
注文金額 | 1,000 |
レンジ | 78~86円 |
トラップ本数 | 21本 |
トラップ値幅 | 0.4円 |
利益金額 | 700円(決済トレールなし) |
ロスカットレート | 67.560円 |
もう一度言いますが、このステップ7の調整は必須ではありません。


O型なのにA型気質な私の好みで数字をいじっただけです(笑)。


私だったらこのステップは省略!A型だけど…。
ステップ8:トラリピを注文する
いよいよ、トラリピを注文するところまでやってきました。あと一息です。
注文画面では、これまでに決めた運用条件を次のように入力します。運用資金とロスカットレートは注文画面で入力することはありません。


注文前にもう一度ロスカットレートの確認をしたい場合は、『トラリピのリスクを試算』というボタンを押して、運用予定額を入力すればロスカットレートを確認することができます。
最後に注文実行ボタンを押せば、めでたくトラリピ開始となります。


運用条件さえ決めれば、注文自体は簡単ね。
まずは実際にトラリピをやってみよう
以上、トラリピの設定方法についてできるだけわかりやすく解説してきたつもりですが、いかがでしたか?
トラリピはわかりやすい運用手法ですが、机上論と実際にやってみるのとでは印象が全然違います。
「含み損を常に抱えるってどんな感じなのか?」、「利益はどんなペースで増えていくのか?」といった感覚は、実際にやってみないことにはつかめません。
トラリピの設定が理解できたら、とりあえず20~30万円程度で実際にトラリピを始めてみるといいと思います。
実際に自分でやってみると、新たな発見や疑問がいろいろと出てくるはずです。そういう過程を経てトラリピの理解が深まっていきます。
誰だって最初から完璧に理解するのは無理です。まずは最初の一歩を踏み出してみませんか?


長文記事、お疲れさまでした!