トライオートFXでヘソクリをトラリピ運用しているイモラです。
これまでトライオートFXでは、CAD/JPYの買い、EUR/JPYの売り、EUR/GBPの売りを運用していましたが、2021年3月から6通貨ペアでの新運用を開始しました。
悩みに悩みまくりましたが、ひとまずこれでいってみようと見切り発車!(笑)
6通貨ペア運用の運用条件や運用資金についてまとめました。
トライオートFXでの運用方針
トライオートFXで新運用を検討するに当たって重視したのが次の2点です。
- ほったらかしでいられる ⇒ レンジ広めの多通貨ペア運用
- 少ない資金でショック相場に耐えられる ⇒ 相関の低い通貨ペアを組み合わせる
1点目が「ほったらかしでいられる」ことです。
裁量トレードに疲れて自動売買を始めたのに、最近、いろいろいじりすぎて自動売買にすら疲れ始めている自分がいます(笑)。
もちろん完全放置なんてことは考えていませんが、ある程度ほったらかしでいられる設定を心がけました。
その結果が、「レンジ広めの多通貨ペア運用」に表れています。

はじめての試みなのでドキドキワクワク。
もう1つが「少ない資金でショック相場に耐えられる」こと。
私はこれまで基本的に、各通貨ペアのロスカットレートをリーマンショック以降の最安値・最高値に決め、そこまで耐えるのに必要な資金を計算していました。
しかし、これを多通貨ペアでやると、安全度が増すのは違いありませんが、必要資金が膨らみ資金効率が悪くなります。
そこで、相関の低い通貨ペアを組み合わせることで、できるだけ値動きがバラバラになることを狙いました。
こうすることで、各通貨ペアで含み損が膨らむタイミングをずらすことができ、運用資金を減らすことができると考えたのです。
相関係数と高低差から6通貨ペアを選定
多通貨ペアと言っても、同じような値動きをする通貨ペアを増やしてもあまり意味がないと考え、相関係数を用いて通貨ペアの絞り込みを行うことにしました。
相関係数とは、2つのデータの相関を示す数値であり、-1.0~1.0の値をとります。
- 1.0に近い ⇒ 正の相関(片方が上がればもう一方も上がる)が強い
- -1.0に近い ⇒ 負の相関(片方が上がればもう一方は下がる)が強い
- 0に近い ⇒ 相関が低い(互いに関係なく動く)
トライオートFXで取り扱いのある通貨ペアのうち、TRY/JPYとZAR/JPYを除いた15通貨ペアの相関係数をこちらのサイトで調べました。

トルコリラと南アランドはトラリピ運用向きではないと考え、選択肢から外しました。
過去10年間の相関係数はこのとおり。

青色:相関係数の絶対値≦0.2
オレンジ色:相関係数の絶対値≦0.5
赤色:相関係数の絶対値>0.5
この中からできるだけ低相関の青色のセルが多く残り、赤色のセルを減らすように通貨ペアの取捨選択を行いました。
また、その際には、コロナショック以降(2008年10月~2021年3月)の期間における高低差も考慮しました。赤字は選定した通貨ペアです。
通貨ペア | 高低差 |
---|---|
USD/JPY | 50.3円 |
EUR/JPY | 56.5円 |
GBP/JPY | 79.1円 |
AUD/JPY | 50.4円 |
NZD/JPY | 49.8円 |
CAD/JPY | 38.2円 |
CHF/JPY | 73.4円 |
EUR/USD | 52.8円 |
GBP/USD | 71.1円 |
AUD/USD | 61.2円 |
NZD/USD | 43.5円 |
USD/CHF | 62.6円 |
EUR/AUD | 81.0円 |
EUR/GBP | 43.0円 |
AUD/NZD | 30.4円 |
対米ドル通貨ペア:1ドル110円
USD/CHF:1フラン120円
EUR/AUD:1豪ドル85円
EUR/GBP:1ポンド150円
AUD/NZD:1NZドル80円
で円換算

マイナススワップの影響を少なくすることも考慮しました。
こうして選んだのが以下の6つの通貨ペアです。
- EUR/JPY(ユーロ/円):売り
- CAD/JPY(カナダドル/円):買い
- NZD/USD(NZドル/米ドル):売り
- USD/CHF(米ドル/スイスフラン):買い
- EUR/GBP(ユーロ/ポンド):売り
- AUD/NZD(豪ドル/NZドル):ハーフ&ハーフ
CAD/JPY、NZD/USD、EUR/GBP、AUD/NZDは、相関係数、高低差の両方の指標において文句なし!
EUR/JPYは、CAD/JPYが買いレンジのときに売りレンジとなりやすく、リスクヘッジに使えるので採用しました。売りがプラススワップなのもグッドです。
USD/CHFは高低差が高いのがマイナス点で、スイスショックも気になるところですが、相関係数の低さが魅力的だったので採用することに決めました。
絞り込んだ6通貨ペアのみの相関係数を取り出すとこんな感じです。


EUR/JPYとCAD/JPYは赤色だけどいいの?

売り買い逆で運用するので問題なし!
なお、通貨ペアの選定については、こちらの記事も参考になると思います。
6通貨ペア運用の運用条件
次に6通貨ペア運用の運用条件です。
運用レンジ
運用レンジについては、リーマンショック以降の中間値を境界として、機械的に買いレンジと売りレンジを決めています。
EUR/JPY(ユーロ/円)
EUR/JPYの売りレンジは122~146円としています。買いの運用は行いません。

CAD/JPY(カナダドル/円)
CAD/JPYの買いレンジは76~88円としています。売りの運用は行いません。

NZD/USD(NZドル/米ドル)
NZD/USDの売りレンジは0.68~0.80ドルとしています。

運用を始めてからこの記事をちんたら書いている間に、当初プラススワップだったNZD/USDの売りがマイナススワップになってしまいました(泣)。
したがって、買いレンジに突入したら迷いなく買いでも運用します。買いレンジは0.56~0.68ドルとする予定です。
USD/CHF(米ドル/スイスフラン)
USD/CHFの買いレンジは0.86~0.98フランとしています。

USD/CHFは売りのマイナススワップが大きいので、売りの運用は行わない可能性が高いですが、仮に運用するとしたら売りレンジは0.98~1.10フランの予定。
EUR/GBP(ユーロ/ポンド)
EUR/GBPの売りレンジは0.84~0.96ポンドとしています。

EUR/GBPを買いで運用するかどうかは、そのときのマイナススワップ次第です。もし買いで運用するとしたら、買いレンジは0.72~0.84ポンドの予定。

ユロポンはお気に入りの通貨ペアです。
AUD/NZD(豪ドル/NZドル)
AUD/NZDの買いレンジは1.00~1.08NZドル、売りレンジは1.08~1.16NZドルとしています。

AUD/NZDに関しては、リーマンショック以降の長期チャートをベースにしたレンジ設定ではなく、ここ6年ほどの値動きに基づいた狭いレンジとしています。
とりあえずはハーフ&ハーフで運用していますが、そのうち、コアハーフ戦略にポチポチと変更するかもしません。
運用条件一覧
運用レンジ以外も含めた運用条件の一覧はこのようになっています。

太字の設定が現在稼働させているものです。

AUD/NZDについては、上記のように狭レンジで攻め気味としていますが、レンジ上抜けの不安が拭えません。
そこで、買いの数量を2,000、売りの数量を1,000とすることで、買いでは攻めの姿勢を強め、売りでは買いとほぼ同じ資金でロスカットレートを1.25ドルまで上げています。
ここで、上の表の必要資金についてですが、従来の私のやり方で求めました。
つまり、ロスカットレートをリーマンショック以降の最安値・最高値とし(AUD/NZDの売りは例外)、それを実現するのに必要な資金を計算しています。
このような計算は、トライオートFXとのタイアップ特典で提供している資金管理ツールで行っています。
CAD/JPYとEUR/JPYは異通貨ペアによる一部両建てみたいなものなので、合計にはEUR/JPYの必要資金のみを含めています。
従来の資金計算だと、必要資金は660万円ということになりました。
ちなみに、値幅を2倍にすれば必要資金は約半分、値幅を4倍にすれば必要資金は約1/4となります。

660万円も必要なの?!

ここからどれだけ減らすことができるかを検討してみるよ。
なお、トライオートFXでは、ビルダーという機能を使ってトラリピ運用の条件を設定します。詳しくはこちらの記事をどうぞ。
運用資金はどうやって決める?
従来のやり方で求めた必要資金は約660万円でした。
しかし、同時にすべての通貨ペアがロスカットレートに達するなんてことは現実的にあり得ません。相関の低い通貨ペアを組み合わせたのでなおさらです。
つまり、660万円ならかなりの安全運用にはなりますが、資金効率がどうしても悪くなります。
そこで、まず参考にしたのがトライオートFXのシミュレーション。シミュレーション結果によると、推奨証拠金は約300万円となりました。

トライオートFXの推奨証拠金については、こちらの記事で詳しく解説していますので、よかったら参考にしてください。
簡単に説明すると、シミュレーション期間中の運用なら、推奨証拠金の300万円でロスカットにならずに済んだということです。

ただ、シミュレーション期間が2~3年と短いのが難点。
コロナショックなら確かに300万円で耐えられたのかもしれませんが、それ以前のショック相場ならどうだったのか?
この疑問を解消するため、過去のいくつかのショック相場に関して自分で推奨証拠金を求めてみました。
現状設定に加え、NZD/USD、USD/CHF、EUR/GBPでハーフ&ハーフを導入した場合も併せて試算してみました。
ショック相場 | 現状設定の 推奨証拠金 | ハーフ&ハーフ 導入時の 推奨証拠金 |
---|---|---|
リーマンショック (2009年1月) | 約370万円 | 約590万円 |
世界同時株安 (2011年8月) | 約520万円 | 約520万円 |
スイスフランショック (2015年1月) | 約380万円 | 約440万円 |
フラッシュクラッシュ (2019年1月) | 約210万円 | 約260万円 |
コロナショック (2020年3月) | 約290万円 | 約360万円 |
簡易的な独自試算ですが、現状設定のコロナショック時の推奨証拠金が290万円となり、シミュレーション結果の300万円に割と近い結果が出ました。

多少は参考になりそうです。
一番厳しい結果となったのが、ハーフ&ハーフを導入した場合のリーマンショック時の推奨証拠金で約590万円となりました。
660万円⇒590万円と70万円の圧縮はできましたが、思ったより減らない結果に(苦笑)。
その一因として、ショック相場でリスクオフの動きが高まると、普段の相関を無視して安全資産にお金が集まる傾向があることが考えられます。

何かあると円高になりやすいみたいな?

そうそう。
過去のショック相場でのおおよその傾向を調べたところ、次のようになりました。
通貨ペア | ショック相場 での傾向 |
---|---|
EUR/JPY | 下落 |
CAD/JPY | 下落 |
NZD/USD | 下落 |
USD/CHF | 不明 |
EUR/GBP | 上昇 |
AUD/NZD | 不明 |
例えば、10年間の相関係数が-0.1と0に近いCAD/JPYとEUR/GBPは、普段はかなりバラバラに動いてくれます。
しかし、CAD/JPYの買いとEUR/GBPの売りを運用している場合、ショック相場ではどちらも含み損が膨らむ方向に動きやすいのです。

コロナショックで経験済みです。
ショック相場での含み損を減らすために相関の低い通貨ペアを組み合わせたのに、ショック相場では思ったより含み損を減らせない…。
これを避けるためには、上記の傾向を考慮してショック相場で含み損を相殺するように売り買いの組み合わせも考えたほうがよさそうです。
ただ、レンジ的にそれが妥当なのかどうか、スワップがどうなのかという問題もあるので、残念ながら最適解を得るまでには至っていません。
とは言え、とりあえず運用資金を決めないといけないので、エイヤーで400万円と決めちゃいました(笑)。
正確には、トライオートFXに投入している元本300万円と累計利益100万円強をそのまま使って運用することにします。
これなら少なくともコロナショックなら耐えられますし、最初から多めの資金を投入するとついつい設定増やしたくなりそうなので…。

多通貨ペア運用で資金をどう見積もるかは難しいです。
最後はエイヤーで決めちゃって説得力ゼロですが、考察は深まったので今後の運用に活かしていきたいと思います。